レディ・キラーズ
- Aloysius' Rating: 7/10
2004年 アメリカ 104分
監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演:トム・ハンクス、イルマ・P・ホール、ライアン・ハースト、J・K・シモンズ
信心深い老婦人が一人暮らしをしている家にある日教授と名乗る人物が現われる。教授は自らについて淡々と語り、自分の古楽演奏団の練習場所として婦人の家の地下室を借りるが、教授の正体は完全犯罪をたくらむ犯罪者であり、教授の演奏仲間と見えた四人の男もそれぞれが爆破のプロ、トンネルのプロ、スパイのプロ、体力のプロなのであった。とはいえ、この四人は教授の新聞広告につられてただ集まったようで、いったいどのような新聞広告であったのがいささか気になるところではあるが、いずれにしても能力については今一つ以上の疑問があり、それを言えば教授も自らを頭脳労働型と規定しているものの、その思考には今一つ切れがない。
で、トム・ハンクスはいかがわしいコートをまとっていかがわしい教授の役を嬉しそうに演じていて、まずそれが見ていて楽しいし、犯罪者仲間のアホウな会話はほぼ全編にわたって楽しめる。ちなみに爆破のプロは南部公民権運動の真っ最中にペンシルバニアからやってきてそのまま帰れなくなったヤンキーだし、トンネルのプロはおそらくベトナムからの移民で、戦争中、本当にトンネルを掘っていたみたいで、だとすればコミュニストではないか、という気もするけれど、それでも仏教徒なのである。「川の流れに身を任せて」は笑えた。そしてスパイのプロは自分が何をしているのかよくわかっていないアホウな黒人の若造だし、体力のプロに至っては体力があるというだけでそこに呼ばれているまるっきりアホウなフットボールの選手で、教授のことをコーチと呼ぶ。この自称プロ犯罪者グループが老婦人の家の地下室からカジノの会計室に向かってこそこそと穴を掘り、そうしているあいだに老婦人のほうではゴスペル教会に出かけていって牧師の説教を聞き、牛を崇めるイスラエルの民をモーゼがいかにして殴打したかを、また、ときには殴打が不可避であることを学んで帰ってくるのである。
1955年のイギリス映画
『マダムと泥棒』
の翻案。無慈悲で残酷なコメディである。小物連中が自縄自縛状態に陥って、あとは引き算しかすることができなくなるという話なのである。その有様の間抜けな機械人形ぶりがなんとも哀れで涙を誘う。
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