アップルシード
- Aloysius' Rating: 3/10
2004年 日本 103分
監督:荒牧伸志
出演:小林愛、小杉十郎太、松岡由貴、小山茉美、山田美穂
世界大戦で荒廃した都市でその名を知られた女戦士デュナン・ナッツが戦っていると、何やら強力な敵が出現して味方の勢力は全滅し、本人もあわや、というところで唐突に登場した謎の部隊が登場し、敵は壊滅、デュナン・ナッツはユートピア「オリンポス」に運ばれる。ここではバイオロイドと呼ばれる冷静なクローン人間が行政を握り、老人ばかりからなる七賢人がガイアと呼ばれるコンピューターと討議して「オリンポス」の行く末を決めていたが、バイオロイドの繁栄を嫌う人間の軍人たちはクーデターをたくらみ、デュナン・ナッツの存在には「オリンポス」の行く末を決定する何かしらの秘密が隠されており、バイオロイドの生存を危うくするテロ行為が実行され、士郎正宗の原作は遠い昔に一度読んだだけなので、こんな話だったかなあ、と首をひねりながら見ていたような次第である。いや、それにしてもこの主人公はこういうぐずぐずしたキャラクターではなかったのではあるまいか? 相棒のサイボーグとの関係にしたってもっとちょっと漫才が入っていなかったか?
脚本は最低、特にこのめそめそした醜悪なダイアログ考えたやつ、実際に映像化された場合のことを何も考えていなかったか、あるいはそもそも何も考えていなかったか、そのどちらかである。いや、それにしてもとにかく不思議でならないのは、なぜアニメになると原作にあったユーモアが見事に脱落するのか? ということである。笑いを入れると火事でも起こるのか? 『ドミニオン』でもやっぱりこうなるのか? いや、つまり、どうせこうなるならば、なぜ原作が必要なのか?
フルポリゴンの背景をモーションキャプチャーで作成されたキャラクターが動き回る、という映像は、結局のところ、すでに見慣れたものなので違和感はない。ところどころは美しいとすら思えたし、ところどころ、遠景がNHKの「クローズアップ現代」のタイトルみたいに見えたのは、予算の関係だということで勝手に納得できなくもない。問題は話法である。冒頭、廃虚と化した都市のショットが連なってデュナン・ナッツのショットへとつながっていく部分があるが、この都市のショットは無関係な映像をつなげただけであって、空間的な連続性を備えていない。つまり、まるで意味がない。少なくともわたしの目にはそのように見えたので、悪いけれど、そこでもう事実上、この映画の評価は定まってしまったのである。どうやら、この映画の作り手は人間の視点や動作にあまり興味がないようだ。登場人物はほとんど突っ立っているだけ、いくつかの場面ではとうてい人間とは思えない余計な動作を見せている。そしてほとんど常に表情がない。これも予算の関係か、あるいは表情までキャプチャーした結果なのか、とにかく見ていて不気味だったぞ。
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