トロイ ザ・ウォーズ
- Aloysius' Rating: 5/10
2003年 アメリカ 175分
監督:ジョン・ケント・ハリソン
出演:エンナ・ギロリー、ルーファス・シーウェル、マシュー・マースデン、ジョン・リス=デイヴィス


トロイアの王家に新たな王子アレクサンドルが誕生するが、幼いカサンドラがこの王子の誕生に凶兆を読み取り、王プリアモスは王子を山に捨てさせる。するとその様子を見ていた羊飼いが王子を拾ってパリスと名付け、やがて成長したパリスが羊飼いとなって山にいると、目の前にヘレ、アテネ、アプロディテが現われ、一番美しいのは誰かと訊ねる。いわゆるパリスの審判であり、そこでパリスがアプロディテを指差すと、アプロディテは報償として一番の美女ヘレネを約束する。パリスの心にはアプロディテが示したヘレネの顔が焼き付くが、それはそれとして家へ帰るとプリアモスの兵士たちが家のウシを略奪している場面に遭遇する。ウシは競技会の賞品にされるという話であったので、パリスはウシを取り戻すために競技会に参加する。そこでヘクトルを倒してウシを手に入れ、成長したカサンドラはそれがアレクサンドロスであると認め、羊飼いが事情を説明するのでパリスはトロイアの王家へ戻り、ギリシアとの戦争を回避するためにスパルタへ使節として派遣される。
さて、そのスパルタでは数年前、王女クリュタイムネストレがアトレウス家の王子アガメムノンの妻となり、その婚姻の宴の背後でもう一人の王女ヘレネが(一説によれば50過ぎの)テセウスによって誘拐され、誘拐されたヘレネは兄弟によってテセウスの在宅中に奪還される。ヘレネは家へ戻されるが、スパルタ王テュンダレオスはヘレネの出生について疑問を抱くところがあったので、居合わせたギリシアの王たちに向かってほしい者にはこれを与えると宣言する。そこで求婚者たちはくじ引きをおこない、ヘレネはメネラオスの物となる。やがてアガメムノンとクリュタイムネストレのあいだにはイプゲニアが生れ、メネラオスはスパルタの王となってヘレネを妻とし、そのヘレネが全ギリシアの王の前で裸体を披露としていると、そこへパリスが現われる。
パリスとヘレネは恋に落ち、パリスがギリシア側の野心によって危機に陥るとヘレネが手を差し伸べて助け出す。そしてパリスとヘレネはトロイアへ逃れ、その有様を見てカサンドラは悲鳴を上げ、プリアモスは苦悩しながらもヘレネを受け入れ、そうするとアガメムノンはイプゲニアを犠牲にして風を呼び、ギリシア勢が海を渡って押し寄せてくる。それから10年。波騒ぐ浜辺の陣屋では厭戦気分が蔓延し、事態を打開するためにメネラオスとパリスの決闘が行われ、はなはだ意外なことにこの決闘によってメネラオスとパリスはある種の相互理解に到達し、その結果、事態は打開されないのでアキレウスがヘクトルに挑戦する。それから木馬が現われてトロイアの都は滅ぼされるのである。
陰険で強欲なアガメムノン(ルーファス・シーウェル)と、その兄の影で疎外感を味わっているメネラオスという設定は、トロイア側のヘクトルとパリスの関係と対置されているようなところろもあって、それなりに工夫があったような気がする。パリスの誕生からトロイア落城までやろうという根性も買わなければならないが、兄弟対立とという独自のモチーフを採用した結果、アキレウスのエピソードが大幅に縮小されている(早い話、ブリセイスが登場しない)。ちなみにこの作品のアキレウスはほとんどヴィン・ディーゼル乗りで、だとすれば全体をそちらに寄せて、そういう乗りにしてしまえばもっと面白くなったのではないか、という気もしないでもない。パリスとヘレネのロマンスにこだわる理由がよくわからないのである。戦闘場面は決闘も集団戦も全体に駄目。あのような場面を長々と流すなら、もっとダイアログに力を入れてほしかった。衣装はほとんど古代ローマ、チネチッタかどこかからあるのを全部借りたのであろう。ちなみにトロイアは香辛料の集結地という設定になっていて、中国から来た商人がうろついている。スターチャンネル製らしい。

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