ハンテッド
- Aloysius' Rating: 6/10
2003年 アメリカ 95分
監督:ウィリアム・フリードキン
出演:トミー・リー・ジョーンズ、ベニチオ・デル・トロ、コニー・ニールセン


紛争中のコソボに秘密裏に投入された米軍特殊部隊の兵士が虐殺の光景を目撃し、そのせいでちょっと気分が悪くなったようなのである。つまり人類は生き物に敬意を払っていないと感じるようになって、おそらくそう感じたせいなのであろう、帰国したあとで銀星章を受け取るものの、やがて軍から逃れてオレゴンの山中に潜み、物々しいライフルを抱えた鹿狩りのハンターがやって来るのを物陰で待ち、やってきたところで喧嘩を売ってナイフでばらばらに切り刻む。そこでFBIは容疑者の軍隊時代の教官であった男をブリティッシュ・コロンビアの山中から呼び寄せるので、教官とかつての生徒のサバイバル術を駆使したような戦いが山や町を舞台に開始される。どちらもナイフしか使わないし、そのナイフも手製で、ナイフがなくなるといきなり石器で作ったり、そのへんにある鉄片と焚き火だけでいきなり鍛冶屋を始めたりするのである。
どことなくドキュメンタリー調の演出は好ましい形で一定のスタイルを確保しているように見えるが、冒頭の虐殺の場面はかなりしつこくて、こちらの神経はかなり堪えた。節度のある監督だったらあんなに長々とやらないような気がするのである。そもそも必要があったと思えないし、特殊部隊であったという前歴が以降の展開で何か具体的な意味を与えていたとも思えない。国外に出て何かをすると心に傷を負うという手前勝手な図式からは、そろそろ脱却すべきではないだろうか。トミー・リー・ジョーンズは 『英雄の条件』 に続いてフリードキンの作品への出演だが、こちらのほうがよほどいい。素朴にかっこいいし、森の中で困っている狼を助けるというちょっとすてきな場面もあったりする。ベニチオ・デル・トロも目を座らせて熱演をしていたし、クライマックスの二人の戦いぶりもなかなかに動物じみていて面白かったし、ということで、最近のフリードキンの作品としては悪くなかったような気がするのである。

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