バリスティック
- Aloysius' Rating: 3/10
2002年 アメリカ・ドイツ 91分
監督:カオス(ウィッチ・カオサヤナンダ)
出演:アントニオ・バンデラス、ルーシー・リュー


D.I.A(国防情報局)の職員ロバート・ガントの息子が謎の女によって誘拐される。実はその少し前、ベルリンの研究施設からマイクロマシンの暗殺兵器が盗まれていて、ガントはその事件に関わっているらしい。FBIの副長官は酒に溺れている元職員エクスを現場に復帰させ(ほかにいないのか?)、バンクーバーに送り込んで女の行方を追わせるが、その女はDIAの狙撃部隊やバンクーバーの市警察と図書館の前で一大戦闘を繰り広げ(なぜ? 転んだ、というくらいの理由なのに?)、さらにFBI副長官を狙撃して(なぜ?)立ち去っていく。
さて、実を言うとエクスは妻を七年前に車の爆発で失っていたが、FBI副長官の説明によると死んだ筈のエクスの妻は実は生きていて、その所在は謎の女が知っているという(なぜ?)。エクスは謎の女を追いかけて見失い、ネットワークからDIAのファイルにアクセスして謎の女シーバーの正体を知る。実はDIAの元職員で、自分のこどもをDIAのロバート・ガントに殺された(ピン・ポイント爆撃で! なぜ?)ことから復讐をたくらんでいたのであった。DIAのファイルにアクセスしただけでそれだけのことを読み取ったエクスはその場に飛び込んできたバンクーバー市警察によって拘束され(もちろんDIAの差し金だ)、護送の途中でDIAの暗殺部隊の襲撃を受ける(だったら最初から襲えばいいのに)。実を言うと七年前に車の爆発を起こしてエクスと妻とを引き離した(なぜ?)のはDIAのロバート・ガントで、死んだ筈のエクスの妻ヴィンはロバート・ガントの妻となっていたのであった(なぜ?)。エクスの存在を知ったロバート・ガントがエクスを亡き者にしようとたくらんだのであったが、市警察の護送車はDIAの暗殺部隊が襲いかかる前にシーバーによって破壊され(なぜ?)、シーバーはバイクにまたがって町を走り、エクスもまたバイクでシーバーを追いかけ、DIAの暗殺部隊も二人を追って町を走り、その走りがどれもこれも60年代のアクション映画のようにゆっくりなのはもしかしたら懐古調の演出だからなのだろうか(絶対にそんなことはない)、などと余計なことを考えていると、暗殺部隊はシーバーの反撃を受けて全滅する。
シーバーの言葉によって愛する妻の所在を知ったエクスは再会を果たして愛を確かめ、シーバーによってさらわれたマイケルは実はガントの子ではなくてエクスの子であることが判明する。そこへシーバーが現われ(なぜ?)、二人はシーバーの隠れ家に案内されてマイケルと出会い、そこへ三人を追ってDIAの大部隊が出現し、この頃には見ているこちらはもうどうでもいいやという気分になっていて、見どころのはっきりとしない大爆発や見どころのはっきりとしない銃撃戦がいっぱいあって、ロバート・ガントは部下を皆殺しにされて分相応の最期を遂げる。DIAの真の目的は権力と利益の追及なのだそうである。
アントニオ・バンデラスもルーシー・リューも時間を無駄にしているように見える。アクションシーンには工夫といえるような工夫がなく、ただ単調で安っぽい。イマジナリティ・ラインすら合っていないので、しばしば状況の把握が困難になる。場面の連続性もほとんど考慮されていないし、登場人物の頭の中には生ゴミ以上の物が入っていたとは思えない。粗削りというのが褒め言葉になるとはわたしは考えていないのである。

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