タイムライン
- Aloysius' Rating: 5/10
2003年 アメリカ 116分
監督:リチャード・ドナー
出演:ポール・ウォーカー、フランシス・オコナー、ジェラード・バトラー、デビッド・シューリス


マイケル・クライトンの原作に基づく。まず冒頭、修道士のような姿の男が息も絶え絶えの状態になって砂漠で見つかり、さっそく病院に担ぎ込まれるが一言残して死んでしまう。そこで死体を調べてみると血管だの脊椎だの、あちらこちらが切ってから貼り直したようにずれていた。所持品から関係者に連絡がいって、間もなく遺体の引き取りのためにITCというベンチャー企業から警備責任者がやってくるが何かを隠しているような雰囲気がある。
一方、フランスでは考古学者のチームが14世紀の修道院の発掘作業を進めていたが、チームを率いる教授はスポンサー企業のITCが何かを隠しているのではないかと考え、現場を助教授たちに任せて一人でアメリカへ旅立っていく。それから数日が経って修道院の地下で崩落が起こり、内部を調査した研究員たちはそこで教授の手紙を発見する。アメリカへ出張した筈の教授が14世紀から助けを求めていたのである。これを見た教授の息子、助教授、教授の息子が惚れている研究員などはITCが何かを隠しているのではないかと考え、みんなでアメリカへ押しかけていく。
もちろん、ITCはいろいろと隠しているのである。まず、量子コンピューターを開発していた。それから、それを使って物質転送装置を開発し、実用試験に取りかかっていた。そしてその試験の過程で時間を越えるウォームホールを発見し、時間旅行の可能性を開いていた。いろいろする会社なのだなあと感心するが、ただし、行ける場所は14世紀のフランス某所に限られていて、その場所というのが考古学チームが発掘作業をしていた場所なのであった。ITCを先に訪れていた教授は社長から事実を知らされて好奇心のとりことなり、志願して14世紀に旅して、そこで行方不明になっていた。続いてITCを訪れた助教授一行は社長から事実を知らされて驚愕し、教授を救うために志願して14世紀へ、百年戦争の真っ最中へと旅立っていく。
14世紀のフランス。そこではイングランドからやってきた(たぶん)邪悪なオリバー卿が(たぶん)善良なフランスの農民を苦しめていて、(たぶん)地元のアルノー伯はイギリス軍に決戦を挑もうと多数の兵を集めていた。教授は猜疑心たくましいオリバー卿の捕虜となり、教授の息子は研究員と恋に落ち、助教授はアルノー伯の妹と恋に落ち、現代世界では物質転送装置が吹っ飛んで帰るに帰れなくなってしまう。みなさんの運命やいかに、というような話である。
で、攻城戦の場面をかなりきっちりとやってくれたので、それだけでけっこう満足している。両軍による火矢の応酬は見ごたえがあった。振り子式の投石器がぞろぞろ出てきたし、発射の場面も前方、後方、斜め下からといろいろなバリエーションのショットがあって参考になった。全体に原作のあらすじを追っただけという感じもないではないが、もともと原作があらすじみたいなものなので、だったら原作どおりということになるのかもしれない。とはいえ、現代側の話はいかがわしい物質転送理論の部分も含めて大幅にカットしてあったし、本来ならばもっと恐ろしい筈の物質転送の場面もほとんど力が入っていない。察するにタイムラインなところは映画で百年戦争をやるための言い訳で、どうでもよかったのではあるまいか。その範囲ではよくまとめてあるし、テンポも速いし、迫力もあるし、そう悪い映画ではない。

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