レッズ
- Aloysius' Rating: 6/10
Reds (USA 1981,194min.)
[D] Warren Beatty,
[W] Warren Beatty,Trevor Griffiths ,
[C] Warren Beatty,Diane Keaton,Edward Herrmann,Jerzy Kosinski,Jack Nicholson,Paul Sorvino,Maureen Stapleton,Nicolas Coster,M. Emmet Walsh
1915年のポートランド。歯科医の妻ルイーズ・ブライアントはジャーナリストのジョン・リードと出会い、夫が気にする世間体とは無関係に自由恋愛を標榜するルイーズはジョン・リードと交接する。歯科医と離婚したルイーズはジョン・リードに誘われてグリニッジ・ビレッジへと移り住み、そこで作家、思想家、芸術家などと交流するが、自分が今ひとつぱっとしないことに気がついてジョン・リードと別れようとする。だが別れずに、ルイーズはジョン・リードに誘われてひなびた漁村に移り住む。そこにもグリニッジ・ビレッジのメンバーがぞろぞろとやってくるのでルイーズは置き去りになったような気持ちを味わっている。そこへユージーン・オニールが現われて愛を囁くのでルイーズの心はそちらへと傾くが、ジョン・リードは事態を察してルイーズに結婚を申し込む。ユージーン・オニールは傷ついて去り、ジョン・リードとルイーズは本格的な所帯を構えて著述活動を開始する。ジョン・リードは慌しく飛び回る。ルイーズの疎外感は癒されない。ある日ふとしたことから喧嘩になり、ルイーズは家を飛び出してジャーナリストへの道を歩み始める。時はすでに1917年、アメリカは参戦し、ロシアでは革命が始まっていた。ルイーズが西部戦線で取材活動を続けていたが、ジョン・リードに誘われてロシアを訪れる。二人はそこでジャーナリストの同僚同士として取材を進め、1918年、ともにアメリカに帰国してジョン・リードは「世界を震撼させた10日間」を書き上げる。この著作の成功によってジョン・リードはジャーナリストから革命家へと転身し、政治闘争へと身を投じる。アメリカでは社会党が分裂し、共産党と共産労働党が誕生しようとしていた。ジョン・リードは共産労働党の党首としてコミンテルンの承認を得るために、妻の制止を振り切ってロシアへ向かう。コミンテルンは承認を拒否して共産党との合同を指令し、ジョン・リードは帰国の途上、フィンランド官憲に身柄を拘束されてしまう。ルイーズは夫を救うために手を尽くし、自らもまたフィンランドを目指す。だがジョン・リードは身柄をロシアに引き取られ、革命宣伝隊の一員となってジノヴィエフとともにアゼルバイジャンを目指していた。宣伝隊の列車を白軍が襲う。ルイーズは夫を追ってロシアへ入り、病を負って生還を果たした夫を駅に出迎える。しかしジョン・リードの余命はわずかであった。
上映時間3時間15分。当時の関係者のインタビューなどを随所にはさみ、ジョン・リードの肖像をロシア革命をはさんで描き出そうという大胆な試みである。グリニッジ・ビレッジの場面はプロットにかなりの工夫があるし、全体にダイアログはよく出来ている。ウォーレン・ビーティ、ダイアン・キートン、ジャック・ニコルスンはなかなかに風格を出していたし、イェージィ・コジンスキィのジノヴィエフも悪くなかったが、話がロシアへ入るといきなりリアリティを失ってしまうのはロシアでロケをしていないから、という理由だけではない筈だ。集会のステレオタイプな描写などが挿入されているものの、ジョン・リードが実際にそこで目撃したようなまがまがしさが感じられない。レーニンのそっくりさん、トロツキーのそっくりさんなども登場して、それはそれで面白くはあるものの、ひどく穏健に見えるのである。これではジョン・リードがなぜ熱にあてられて革命家へ転身したのかがわからないし、なぜ革命が大事件であったのかも伝わってこない。20世紀初頭の急進派インテリの「毎日が文化祭」状態を描き出すことには一応の成功を収めているが、革命が結果として後景へ退いているために、特に後半はジョン・リードとルイーズの出来の悪い愛の物語になっていて、見ていて辛いものがある。