オペラハット
- Aloysius' Rating: 7/10
1936年 アメリカ 115分
監督:フランク・キャプラ
脚本:ロバート・リスキン
出演:ゲイリー・クーパー、ジーン・アーサー、ジョージ・バンクロフト


ある日のこと、バーモントの田舎町に住む善人ロングフェロー・ディードのところへ死んだ親戚から2000万ドルの遺産が転がり込む。話を持ち込んだ弁護士事務所の思惑としては、田舎者の若造で扱いやすい人物を相続人にして信託資産の横領をごまかしてしまうことにあったのだが、思惑に反してこのディードという人物は単なる田舎者ではなくて、我が強くてプライドが高く、正義心に富んでいる上に常識をも持ち合わせており、しかも詩人で町の楽団のチューバ奏者で、町の消防団の一員でもあることから、消防車にはまったく目がないという怪人物で、だから侮辱を受けたと思えばそれなりに腕力も振るい、事実、ニューヨークの文壇バーで文士どもから侮辱されると大立ち回りを演ずるのであった。
さて、ニューヨークの町ではこの成り上がり者を笑い物にしようと虎視眈々として待ち構えており、辣腕の女性記者はネタをものにしようと身分を隠してディードに近づく。そしてさっそく笑い物に仕立てた記事を一面に載せるが、そうしているうちに何も知らない男は女に恋心を抱き、女の方もまんざらでもない気持ちになり、だが事実を暴れてしまうので関係は破局を迎えてしまう。一方、ディードの扱いにくさに業を煮やした弁護士たちはディードを禁治産者に仕立てて病院にぶち込もうとたくらみ、心に傷を負ったディードは病院にぶち込まれ、その運命やいかに、というような展開になり、その運命を決する法廷の場面はなかなかにスリリングなのである。
一種の奇人としか思えないようなディードのキャラクターをゲイリー・クーパーが飄々と演じて不思議なリアリティを与えている。ジーン・アーサーは美しい。1936年というかなりくらいご時世を背景にしながら、前向きな人物像は肯定的に、そして病的なものは病的に描いて、よくできたコメディに仕上げている。

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