ザ・ビーチ
- Aloysius' Rating: 5/10
2000年　アメリカ映画　119分
監督: ダニー・ボイル
出演: レオナルド・ディカプリオ、ロバート・カーライル、ティルダ・スィントン

バックパック姿でバンコクにやってきたアメリカ人の若者がホテルで知りあった男から楽園の島の地図を渡される。若者は隣室のフランス人カップルとともに島を目指して出発し、船も通わないその島へ海を泳いで渡って到着する。島の半分では自動小銃を持ったタイのお百姓が大麻を育て、もう半分ではフラワーピープルな人々が文明から逃れて自給自足のコミューンを作り上げていた。とはいえ、時には自作のマリファナを本土に運んで現金に交換し、それで生活必需品や新聞などを購入していたので完全に自立しているというわけでもない。コミューンの矛盾がかなりの嫌みを込めて描き出される。さてアメリカ人の若者は島へ泳ぎ着くのに先だって、別のグループに地図のコピーを渡していた。そしてそれを見た連中が島を訪れるようになり、若者は責任を問われて疎外感を味わい、一人でジャングルをさまようようになっていく。後は楽園崩壊に向けてカウントダウンをしていくだけ。ひねりに乏しい文明批評はともかくとしても、登場人物の楽天的な幼稚さに長時間つきあわされるのはかなりつらい。感情移入が前提になっているとすると後半へのバランスが悪すぎるし、悪意があまりにも露骨だということになる。むしろプロットに忠実すぎたと考えるべきであろう。ロバート・カーライルの役どころをもう少し嵩上げして、展開を早くしていたら、もっといい映画になっていたかもしれないと思う。残念ながら 「地獄の黙示録」 の引用もほとんど生かせないまま終わっている。
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