アッチラ
- Aloysius' Rating: 4/10
1954年 イタリア 80分
監督:ピエトロ・フランチスキ
出演:アンソニー・クイン、ソフィア・ローレン、イレーネ・パパス


5世紀中葉。ブレダとアッチラの兄弟はいずれも王となってフン族を率いる地位にあったが、アッチラは平和主義を唱えるブレダを弑して唯一の王となり、西に向かって侵攻を始め、進路にあった東ローマ帝国は屈辱的な和訳を結んで平和を贖い、フン族はさらに西を目指して進撃を続ける。このとき西ローマ帝国の皇女ホノリアは謎の理由からアッチラに対して自らを妻として娶るように要請し、アッチラが言質を与えずにいると、ホノリアは史実に反してローマを飛び出し、アッチラと天幕をともにする。一方、ローマでは将軍アエティウスが軍勢を率いて出陣してフン族と衝突、史実どおりに勝敗のよくわからない戦いがおこなわれ、このとき史実に反してホノリアが死に、アエティウスが戦死する。フン族の侵略はその後も続き、いよいよローマへと迫ってくると、法皇レオ一世がアッチラの元を訪れ、説得によって侵攻するフン族を追い返す。
凡庸な映画で、ストーリーは史実の要点を追って進んでいくが、その要点もいいように省略されているし、代わりに追加されたドラマが格別面白いというわけでもない。いっそ史実から徹底的に離れて「モンティ・パイソン」の『アッチラ・ザ・フン・ショー』みたいになってしまってもよかったのではないかと思えるのだが、いちおう史劇なのでそういうことはしていない。アンソニー・クインのアッチラは退屈なだけ。まわりの登場人物もステレオタイプにはまり込んでいるだけで、そこから先へ動こうとしない。いちばん謎めいている筈のホノリアは、ただ謎めいたまま投げ出されていて、こちらがその見事な胸に見とれているうちに(なにしろ二十歳のソフィア・ローレンなのである)なんだか適当に殺されてしまう。アッチラが反キリスト者として描かれるのは製作された時代の制約だと思うし、フン族が彼方へ去っていった丘の上に巨大な十字架が現われるのもかまわないが、安手なのはどうしてみようもないのである。

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