サハラに舞う羽根
- Aloysius' Rating: 6/10
2002年 アメリカ・イギリス 132分
監督: シェカール・カプール
出演: ヒース・レジャー、ウェス・ベントリー、ケイト・ハドソン、ディモン・ホンソウ
A.E.W.メーソン「四枚の羽根」の七回目の映画化。とはいえ原作は未読のままだし、過去の映画化作品もまだ見たことがない。19世紀後半、マハディ率いるイスラム行動派がスーダン全土を支配下に治め、ゴードン将軍はナイル川上流の
カーツーム
で孤立している。英本土ではカンブリア師団の派遣が決まって若き将校たちは武者震いをしているが、美貌のエスネとの婚約が決まったばかりのハリーはまだ見ぬ戦地に恐怖を感じて悩んだ末に除隊を決める。すると友人たちから憶病者の印として白い羽根が送り付けられ、婚約者からももう一枚もらうはめになり、将軍職にある父からは勘当同然の扱いを受け、場末の部屋にこもって悩んだ末に英国軍を追ってスーダンを訪れ汚名挽回の機会を狙う。映像は絵画的で見ごたえがあるが、通俗的な上にめそめそとしたストーリーはわざとらしいだけで面白みに乏しい(
「ディア・ハンター」
と同じ話なのである)。プライドと奇習に縛られたイギリス人の外国での奇態を、知的なアフリカ人の視点から眺めるという試みも取り入れられてはいるものの、その視点自体がひどく同情的で距離感に乏しいために、このインド出身の監督は植民地時代を懐かしんでいるのではないか、といったような余計な疑問を感じさせる。もちろんそうではなくて今日的な目配りをしながら感動的なドラマに仕上げるために頑張ったのだということはわかるけれど、とどのつまりは頭がおかしい19世紀のイギリス人の話なので、そういう連中が心に抱く悲壮感を無条件で受け入れるのはなかなかに難しいのである。どうせ変なやつらなのだから変なやつらとして描くべきであろう。
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