セッション9
- Aloysius' Rating: 5/10
Session 9 (USA 2001,138min.)
[D] Brad Anderson,
[W] Brad Anderson,Stephen Gevedon,
[C] Peter Mullan,David Caruso,Stephen Gevedon ,Paul Guilfoyle,Josh Lucas,Brendan Sexton
1980年代に閉鎖された州立の巨大な精神病院で、アスベストの除去作業が始まっている。本来であれば3週間はかかる筈の仕事だが、男たちに与えられた期間はわずか1週間だった。入札をクリアするためには、ほかに方法がなかったのだ。だが男たちの敵は時間だけではなかった。最初から困難がつきまとった。リーダーのゴードンは倒産寸前で、しかも育児の問題で疲れ果てていたし、パートナーのフィルは恋人を奪われたばかりで機嫌が悪い。その恋人を奪ったのはハンクという名の男だったが、ゴードンはフィルの反対を押し切ってこの仕事にハンクを雇った。マイクは弁護士志願の男で、落第したので働かなければならなかった。若いジェフはゴードンの甥で、素人も同然な上に暗闇恐怖症だった。気がつけばゴードンは窓の外をにらんでいる。あるいは携帯電話を耳にあてて泣いている。ハンクは顔を出さなくなり、ジェフはすぐに物を壊す。マイクは診療記録を見つけ出して勝手にテープに聞き入っている。フィルは苛立ちを募らせた。男たちの表情は厳しかった。そこへ多重人格の患者を問い詰める医師の声が、そして患者の悲鳴が、陰鬱に流れる。
つまり廃墟と化した精神病院で追い詰められていくわけではなくて、すでに開巻から追い詰められているのである。診療テープの中の音声も格別関係があるわけではなくて、どちらかと言えば雰囲気を盛り上げるのに使われているだけ。とはいえ、そのあたりの手つきは悪くないし、ダイアログは全体に聞き応えがあって耳に心地よい。これでもう少し脚本がなんとかなっていれば、傑作だったかもしれない。とにかく受注して仕事が始まったとたんに全員がさぼり始めるので、貧乏性のこちらとしてはひどく不安になったのである。困難に負けずに仕事をやり遂げてほしかった、と思うのはわたしだけだろうか。