KT
- Aloysius' Rating: 5/10
2002年 日本 138分
監督:阪本順治
出演:佐藤浩市,キム・ガプス,チェ・イルファ,筒井道隆,ヤン・ウニョン,キム・ビョンセ,原田芳雄
1971年に起こった金大中誘拐事件を題材に、防衛庁陸幕、KCIAの動きを追う。佐藤浩市扮する陸自三佐がつまり特務で、これが上からの命令で興信所を開いて待っているとKCIAの人間が現われ、金大中に関する情報を求めてくる。朴政権は金大中を始末しようと考えていて、KCIAはその決定にしたがって行動を開始し、陸幕はその行動をなぜか支援するのである。自衛隊という組織の居心地の悪さを背負った幹部自衛官、どことなくサラリーマンなKCIA、市民団体以上のものではない金大中支援組織、さらに新聞記者が絡んで話を展開させていくのだけど、中途半端な人物造形と佐藤浩市の無用の煩悶のせいで話がつまらなくなってしまっている(あと、布袋寅泰の音楽はただもう眠気を誘うだけ)。KCIAの局員が素人臭く金大中を追いかけていくと、いつの間にやら日本の公安に捕捉されていて、外交問題寸前になってパニックを起こしたり、という面白い場面もいくつかあったので、これは非常にもったいないと思うのである。こちらの希望としては、そうした外交上のどたばたの方に話を絞り込んでほしかったし、外交を主軸にした滑稽で冷たい話にしておけば、むしろ人間性の方が抑圧を受けて拉致をする・されるという問題への脅迫観念をもっと強調することができたような気がする。それならば、それなりに秀逸であったあのラストシーンももっと生きてきたと思うのである。素材が金大中誘拐事件であるにしても、何が起点で何が終点なのか、今ひとつはっきりしないまま作ってしまった映画なのではあるまいか。ばらつきが多いのである。韓国側の俳優たちが魅力的であっただけに、残念でならない。
IMDb で
を検索します。
* Search provided by
The Internet Movie Database
.