ゴスフォード・パーク
- Aloysius' Rating: 6/10
Gosford Park (UK/USA/Germany/Italy 2001,137min.) [D] Robert Altman [W] Julian Fellowes , [C] Maggie Smith,Michael Gambon ,Kristin Scott Thomas,Camilla Rutherford ,Charles Dance,Geraldine Somerville ,Tom Hollander,Natasha Wightman ,Jeremy Northam,Bob Balaban ,Helen Mirren ,Alan Bates ,Derek Jacobi,Richard E. Grant

1932年のイングランド。マッコードル卿のカントリーハウスにキジ撃ちに招待された人々が集まってくる。多くはマッコードル卿夫妻の親類縁者のたぐいの貴族たちで、そこに平民から出てきた妻が混じり、血縁とは無関係なところではハリウッドのプロデューサーなども混じっている。上階の人々がサロンに集う一方で下の階では執事、家政婦、従僕、付き人、料理人とそのスタッフなどが忙しく働いていた。上の階では着飾った人々が欲にボケたような会話を交わし、下の階では上の階の人々の噂話の花が咲く。どうやらマッコードル卿は工場を経営して資産を貯えていたが、招かれた者の多くは不運をかこって職や資金を求めていた。そして機嫌の悪いマッコードル卿はすでに約束していた仕送りや出資を取りやめようと考えていて、親類縁者は不穏な気配を察して不安を抱く。だがマッコードル卿は自分の部屋で殺害され、無能な警官が何一つ調べずに立ち去った後、恐るべき真相が年若いメイドの手によって明かされるのであった。
で、その真相というのは、アメリカの高名で高齢の監督が70年代出身のアメリカの知性派俳優と組んでイギリスの貴族社会に描こうとした結果、見かけばかりで中身のない代物になってしまった、というあたりになるのではないだろうか。最大の欠点は、まったく顔が見えてこないところにある。登場人物がやたらと多い上に、人物構成にかかる比重が均一に散らされてしまっていて、そのために誰が誰でどういう位置にいるのか、特に上階の人物関係が事実上最後まで把握できなかった。わたしの頭が悪いのかもしれないが、たぶんそういうことではないと思う。演出はメリハリがないし、脚本は気取りばかりで骨がない。つまりアルトマン風だと言えばアルトマン風だということになるわけだけど、この脚本が本当にアカデミー賞を取ったのだとすれば、英国流マナープレイだって俺たちにはできると勘違いしたハリウッド流スノビズムが全開になっているということではあるまいか。映画の出来とは無関係に、マギー・スミス、ヘレン・ミレン、マイケル・ガンボン、アラン・ベイツなどは実に立派な演技を見せてくれる。リチャード・E・グラントも従僕役で顔を出していて、これはこれで様になっていて、役者の演技を楽しむだけなら決して悪い映画ではない。