耳に残るは君の歌声
- Aloysius' Rating: 4/10
The Man Who Cried (UK/France 2000, 97min.)
[D] Sally Potter, [W] Sally Potter,
[C] Christina Ricci,Cate Blanchett,John Turturro,Johnny Depp,Danny Scheinman ,Harry Dean Stanton
1927年、まだロシアのどこかにあるユダヤ人の村。父親はアメリカに出稼ぎ(!?)に出て、少女は家族とともに村に残る。すると間もなく共産党(?)の焼き討ちがあって村は全滅し、少女は父親の後を追って船に乗り込む(!)。船はイギリスに到着し、少女はそこで里子に出され、成長すると少女はクリスチーナ・リッチになって、アメリカを夢見ながらパリで踊り子になるのである。間もなく同じキャバレーの踊り子仲間がクリスチーナ・リッチに同居を申し入れる。これがケイト・ブランシェットで、男をつかまえて玉の輿に乗ろうと企んでいる。そしてこの二人がある晩、イタリア人オペラ歌手の歓迎パーティか何かに担ぎ出されて男どもと遭遇する。まずオペラ歌手というのがジョン・タトゥーロ、その舞台でなぜか一言も喋らずに白馬(馬糞付き)を引いているのがジョニー・デップということで、ケイト・ブランシェットは(おそらくは顔の長さが同じだという理由で)ジョン・タトゥーロと一緒になり、クリスチーナ・リッチはもちろんジョニー・デップと一緒になる。やがて30年代も終わりに近づいてドイツはポーランドへ侵攻し、ジョン・タトゥーロは実はファシストであることが明らかになり、クリスチーナ・リッチはユダヤ人であることをこのオペラ歌手に知られてしまう。ジョン・タトゥーロはクリスチーナ・リッチにいろいろと粉をかけてくるけれど、相手がいっこうに乗ってこないので腹を立てて、すでにパリが陥落していたこともあって芸術を愛するドイツ軍にクリスチーナ・リッチの身分を暴露する。するとケイト・ブランシェットがクリスチーナ・リッチに逃亡を促し、一緒にアメリカへ行こうという話になってクリスチーナ・リッチが荷造りをしていると、そこへジョニー・デップがやってきて一杯飲んで別れを告げる。クリスチーナ・リッチは寝込んでしまったジョニー・デップを置いてケイト・ブランシェットとともに船に乗り込み、乗客の中にいた金持ちをつかまえてハリウッドへの道筋をつけていると、そこへドイツ軍の雷撃が、ということで船は沈んでしまうのである。そこから先はアメリカ編になるわけだけど、ジョニー・デップもジョン・タトゥーロももう出てこないので、たいそう短いのである。だらだらした話の合間でジプシーに扮したジョニー・デップが馬に乗って走ったり、その後をクリスチーナ・リッチが自転車で追いかけたり、そうかと思うとクリスチーナ・リッチが暗くて低くてかわいい声で歌ったり、ジョン・タトゥーロが「トスカ」や「イル・トロヴァトーレ」を歌ったりするという同好会映画だったのである。ルーマニアのジプシー・バンドの音楽の方がたぶん先にあって、そこを起点にみんなでやりたいことを決めていったという感じがしてならない。結果としては、エピソードらしきものがつないであるだけ。それにしてもたいそうな邦題だね。