トラフィック
- Aloysius' Rating: 8/10
Traffic (USA 2000,147min.) Directed by Steven Soderbergh Screen play Stephen Gaghan (miniseries:Simon Moore) Cast:Michael Douglas,Benicio Del Toro,Jacob Vargas, Miguel Ferrer,James Brolin,Amy Irving,Tomas Milian, Albert Finney

麻薬に絡む3つの話が3ケ所で同時に進行する。メキシコのティファナでは一人の警官が麻薬組織を追ううちに組織の方へ取り込まれ、すでに組織と結託していた憲兵隊(?)の将軍の配下となっていく。だが友人を失うことで正義に目覚めて告発を決意する。オハイオでは判事が麻薬対策本部の長に内定してワシントンへ赴くが、すでにその時には自分の娘が麻薬常用者となっている。事実を知った判事は娘を厚生施設へ叩き込むが、娘は施設を脱走して麻薬を求めて転落していく。サンディエゴでは麻薬密売人が逮捕され、その密告によって大物が摘発される。その大物の妻は専業主婦で、しかも妊娠中で、自分の亭主が麻薬密輸業者であることを知って驚くが、家庭を守るために麻薬組織と接触し、亭主の救出を試みる。オハイオは青くて、メキシコは黄色い。撮影のトーンがそう調整されている。かなりの部分が手持ちカメラによる撮影に見える。さもなければ最終処理の段階で人為的にブレが追加されている。少なからぬ登場人物が手際よく説明され、かなり細かい状況までが実に巧みに折り込まれている。テンポがよく、無駄な場面というものがないので息が抜けない。テクニックの勝利のような映画である。話はとてつもなく愚直なのに、そのことをまるで感じさせない。ただ最後の演説の場面で、マイケル・ダグラスの顔を捉えるフレームが小刻みに揺れていることに気がついた時、正直に言うとちょっとうんざりさせられた。展開を保持するための映像的な文体に、まったく抑制が利いていない。技に溺れて作ったとしか思えないのである。