バトル・ロワイアル
- Aloysius' Rating: 5/10
バトル・ロワイアル(東映他 2001, 114min.)
[D] 深作欣二
[W] 深作健太(原作: 高見広春)
[C] ビートたけし,藤原竜也,前田亜季,山本太郎,塚本高史,柴崎コウ
70年代初頭のSF短編のようなおもむきがあったが、原作を読んでいないからなのか、わたしにはBR法の目的がよくわからなかったのである。生意気なこどもを恫喝するため、ということであれば劇中すでに明らかなように意味がないし、こども同士で殺し合う理由がない。経過儀式ということであれば制限的に過ぎてやっぱり意味がない。運営に手間と金ばかりかかって、しかも簡単に壊されるようでは制度としての有効性がないのである。スティーブン・キングが考え出した「死のロング・ウォーク」の方がよっぽど恐ろしいように思えるのだが、おそらく制度的な抑圧はこの話とは何の関係もないのだろう。法律は状況を確保するための言い訳であって、大人との関係ですらも、実は二義的なものなのかもしれない。たぶん、中学生が殺戮をとおして自立する話なのである。そんな自立だったらしなくてもいいような自立ではないかという気もするのだが、とりあえず深作欣二の演出は手際がよいし、だれ場もなくてよくまとめられている。日本映画ではいつも気になるステージ・ガンも、きちんとした物が使われていたし、登場人物がほとんど個体識別できなくてもまったく支障にならなかった。見せ物としての条件を備えていたし、見応えもあったと思うのである(キャラ萌えしなければ見ていられないという噂を聞いていたが、そんなこともなかったということになる)。問題があったとすれば、やっぱり制度上の意味が不明だという点であろう。こどもに脅えた大人たちは、BR法を制定していったいどうしたかったのであろうか。わからないのである。仮にどうでもいいのだとしても、どうしてもそこへ戻ってしまう。原作を読んだ方がいいのだろうか?