アヴァロン
- Aloysius' Rating: 5/10
アヴァロン (バンダイビジュアル他 2001,106min.) 監督: 押井守 脚本: 伊藤和典 出演: Malgorzata Foremniak,Wladyslaw Kowalski,Jerzy Gudejko,Dariusz Biskupski,Bartek Swiderski

ほぼ全編がポーランド・ロケ。話はヴァーチャル・リアリティ型のゲームに実は隠しステージがあるというその一点に沿って進み、そこに何やら謎めいた話が絡むのだが、その辺りは例によって勝手にやっているという感じであまりよく見えない。途中はどうあれ結局のところ、どこぞのステージにいるボスを倒して、その後で一連の操作をすると隠しステージの入口が開いて、という展開になる。廃虚を中心としたロケ効果、夏の空(白夜か?)をモノトーンで捉えた映像、動と静を対極に配置した演出、コンピューターのアナクロなインターフェース(フルスクリーンの十字型ポインターとか)などは見応えがある。ある種のだるさがつきまとうのは事実だが、視覚的な面ではかなり充実しているので、見ていて飽きなかった。問題があるとすれば、隠しステージに入った後の処理であろう。「現象に惑わされない」ことによって出現するアヴァロンが何なのか、そのことを説明する前に映画は立ち往生してしまう。映画の主軸には幻想と現実の転倒が折り込まれ、過程では立ち往生を予告するかのように白紙を束ねた本が登場する。だから最後の立ち往生を確信犯と見ることもできないのではないのだが、あまりにも唐突であるがために、むしろ脚本の弱さを感じさせてしまう。個人的にはもう少し突っ込んでほしかった(予算の関係があったとしても)。とは言え、もっと評価されるべき作品であるとは思うのである。