恐怖の報酬
- Aloysius' Rating: 6/10
Sorcerer (USA 1977, 121min.)
Directed by William Friedkin
Written by Walon Green (novel:Georges Arnaud)
Cast:Roy Scheider,Bruno Cremer,Francisco Rabal ,Amidou
クルーゾーの
「恐怖の報酬」のリメイク。
南米の油田基地がテロリスト(または現地解放勢力)によって爆破され、消火のために近くの町からダイナマイトを運ぼうとするが、ダイナマイトはどれも管理状態の悪さから液漏れを起こして元のニトログリセリンと化している。町から火災現場の間には乱気流があるのでヘリコプターではとても運べないという結論が下され、食い詰め男たちを集めて地上をトラックで運ぶことになる。運転技術の試験をパスした男たちは廃車置き場から車を選んでそれぞれに改造をほどこし、ニトログリセリンを積み込むと二人一組となって出発する。ジャングルを越え、壊れかけた吊り橋を渡り、ゲリラの包囲を突破して、トラックそのものが次第に怨念と塊と化していくあたりは見応えがある。ただ、人物に背景を与えるためにむりやり回想を押し込む手法はいただけない。緊張感が持続しないのである。ちなみにディレクターズ・カット版を見ると劇場公開版の回想シーンが実は長大な冒頭部の断片であったことがわかるのだが、これは本当に長くて、しかも主要登場人物の過去を順番に説明するという単細胞な作りになっているので、見ているうちに何を見ているのかわからなくなる。ウィリアム・フリードキンは一定の文体で全体をよどみなく構成していくというのが苦手なようだ。ロイ・シャイダーも熱演しているし、後半の幻想的な描写も悪くはない。タンジェリン・ドリームの音楽も傑作なので、ちょっと残念な映画なのである。