雨ぞ降る
- Aloysius' Rating: 5/10
The Rains Came (USA 1939, 103min,) Directed by Clarence Brown Written by Philip Dunne Cast: George Brent, Myrna Loy, Tyrone Power, Brenda Joyce ,

なにやら名誉に傷を負っている英国人がインドの藩国で暮らしていると、そこへ伝導団の両親とともにやってきた美少女が粉をかけ始める。さらに昔関係のあったふしだらな女が富豪の妻として現われて、こちらはマハラジャに仕えるインド人の青年医師に粉をかける。つまり男女がうちゃらくちゃらする映画で、なにしろ1938年の製作だったりするのでインド人の青年医師には顔を黒く塗ったタイロン・パワーが扮している。基本的にはわたしが見ない種類の映画であり、なぜこんな映画を見るのかを大蟻食も横で首をひねっていたが、実は理由がちゃんとあって、モンスーン気候になって雨が降り始めると、そこへ突然大地震が起こって町が崩壊するのである。非情の地割れが群衆を飲み込み、ダムが決壊して家々や人々を無情の波で押し流すのである。短い場面ではあったが、容赦のない描写は迫力がある。通常にミニチュア特撮やスタント以外にも精密なトランベリング・マットが使われていて激しい濁流が人間を飲み込む。おそらくはあのマット、手で書いたのではあるまいか。しかも天災の後には水質汚染が起こって疫病まで蔓延するのである。たしかに男女がうちゃらくちゃらしてはいたが、なかなかによくできた災害映画なのであった。