評決のとき
- Aloysius' Rating: 3/10
A Time to Kill (USA 1996,149min.) Directed by Joel Schumacher Written by Akiva Goldsman (novel:John Grisham) Cast:Matthew McConaughey,Sandra Bullock,Samuel L. Jackson,Kevin Spacey,Donald Sutherland,Kiefer Sutherland,Patrick McGoohan

先日 「交渉人」 を見ていた時、ケビン・スペイシーという役者が他に何に出ていたのかさっぱりわからなくなって(年のせいなのか、最近こういうことが非常に多い)、新宿ツタヤの「ケビン・スペイシー」コーナーにいってみた。なるほど 「セブン」 「ユージュアル・サスペクツ」 「LAコンフィデンシャル」 などですでにその顔を見ていたことはわかったが、これだけきれいさっぱり忘れているのだとすると、あの顔はやはり相当に印象希薄なのではないだろうか。
「評決のとき」はそのコーナーにあって、そう言えばまだ見ていなかったという理由で借りることにした。よくよく見るとオールスター・キャストの映画である。パトリック・マグハンまで判事の役で出演している。役者はみんなよかったが、、公判中に死者2名負傷2名、弁護士の家まで丸焼けになって遂には軍隊出動というのはいったいなんだ? 南部公民権運動の真っ最中でもあるまいし。話を作るために暴力を選択しているような気配が濃厚で、見ているうちに不快になってきた。これでもしテンポがよければこちらが余計な疑問を感じることもなかったのかもしれないが、いかんせん悪い。2時間半の映画で公判に入ったのは最後の45分くらいだったかもしれない。裁判に入るまでにはごたごたがつきまとうことは事実だとしても、それを裁判のための準備ではなく、暴力のための予告とその実行でたらたら埋めているのだとすると、上映時間を余計な内容で稼いでいるのだと判断されても仕方がないのではないか。一定の枠組み(この場合は人種差別)に一般的な要素を放り込んでいけばストーリーができあがるという手前勝手な思い込みの最悪の例になっている。ちなみに同じグリシャム原作で違う枠組み(個人賠償)を使った「レインメイカー」も監督はコッポラであったが同じ理由で感心しない。