キッシンジャー&ニクソン/合衆国の決断
- Aloysius' Rating: 5/10
Kissinger and Nixon (Canada 1995, TV 98min.)
Directed by Daniel Petrie
Written by Lionel Chetwynd
Cast: Ron Silver, Beau Bridges, Matt Frewer,Ron White, George Takei, Kenneth Welsh, Tony Rosato, Henry Chan
カナダ製のテレビ映画で、パリ会談最終段階、つまりベトナム戦争講和直前の状況におけるキッシンジャーの活動を地味に伝える。原作になっているのはキッシンジャーの伝記のようである。ロン・シルバーがキッシンジャーを、ボー・ブリッジスがニクソンを演じている。どちらもほとんどゴム製マスクと言ってもいいようなそっくりさんメイクをしていて、これが最初は違和感を与える。不気味なのである。幸いなことに見ているうちに慣れてきた。そして慣れてくると、ロン・シルバーがかなり正確な役作りをしていることがわかってくる。話ぶりや態度などは、本物のキッシンジャーによく似せてあった。一方、ボー・ブリッジスのニクソンは、恐ろしいことに仮面を付けていてもニクソンよりはボー・ブリッジスに見えたのである。おそらくは立ち姿の問題であろう。政治家の立ち姿ではなく、昼間からビールを飲んでいるろくでなしの立ち姿なのである。映画そのものについて言えば乗りがほとんど記録映画で、当時の政治状況やキッシンジャー当人に関心がなければテンションを保つのは難しい。可能な限り創作を排するという制作態度は立派だが、だったらもっと居直って話を記録されている部分に絞り込み、長さも4時間くらいにした方がもっと見応えがあったかもしれない。