ジョーズ
- Aloysius' Rating: 7/10
Jaws (USA 1975, 124min.)
Directed by Steven Spielberg
Written by Peter Benchley , Carl Gottlieb
Cast: Roy Scheider, Robert Shaw, Richard Dreyfuss, Lorraine Gary, Murray Hamilton
超満員の劇場で見たのは中学二年の時だった。見終わってなんとすごい映画だと思い、NHKのFMで拾ったジョン・ウィリアムスのテーマ音楽を繰り返して聞いていた。そしてスピルバーグがその年のアカデミー監督賞の候補にも入っていないことを聞いて、それはなんだか理不尽だと感じたことを記憶している。
それから20年以上経って見直してみて、たしかにこれでは監督賞はもらえないと考えた。もちろんアカデミー賞の選考過程には政治的な諸問題がいつも絡んで評価されるべき才能が常に評価されているとは限らないが、「ジョーズ」に関しては必ずしも間違いではなかったということである。全体を統一するリズムというものがない。それは単に陸の場面と海の場面がつながっていないということではなく、海に出てからもサメが実際に出現するまでは多くの場面がだれていて、前後のテンションのばらつきが目立つ。サメを使った力技に多くを依存していたのではないのだろうか。ショットを完成させる力はあっても構成力は低いのである。ある種の想念に基づいて画面を作ることができても、それぞれの場面は全体の中で孤立している。これはおそらくスピルバーグのどの映画についても指摘できる筈である。