クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード
- Aloysius' Rating: 6/10
2002年 日本 95分
監督:水島努
出演:矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ、屋良有作 、小林愛、羽佐間道夫 、大塚周夫 、納谷六朗、玄田哲章、緒方賢一
ある朝、野原しんのすけとその一家がその日の夕食のために用意された焼肉の材料を見据えて舌なめずりをしていると、一台の車が家の塀を破って突っ込んでくる。愛犬シロのご飯皿は破壊され、中から転がり出てきた怪しい男は救いを求めて野原夫妻にすがりつくが、続いて現われた追っ手の男によって怪しい男は拘束される。ところがこの怪しい男は捕まる時に何か肝心のものを野原一家に託すので、野原一家は自動的に追われる身となり、いかなる手段によってか数々の罪状を並べ立てられて凶悪犯として全国に指名手配されてしまう(ひろしは異臭物放置、みさえは年齢詐称、しんちゃんは幼児猥褻罪、ひまわりが結婚詐欺、あと、シロが暴走行為だったかな)。野原一家は怪しい武装集団から逃れ、逮捕賞金に目がくらんだ春日部の住民から逃れ、晩ご飯には家族で豪華な焼き肉を楽しむために反撃を決意して悪の秘密基地を目指して出発する。
で、そこから先のアクションがすごい。県道でのカーチェイス、飛来するヒューイ・ヘリコプターの編隊、ジェットコースターでの大追跡、春日部防衛隊の死闘、幼児用オフロードバイク対競技用自転車の大集団、最後は一家を挙げての肉弾戦というような具合になっていて、それがまた実によく動いている。セルアニメとCGの使い分けも巧みだし、状況の作り方には工夫がある。裏を返せばやりたいことがまず先にあって、ストーリーはそのために奉仕しているだけ、というような側面もあり、そのせいでクライマックスには弱みがあるが、そこに至るまでの過程が面白いのでそれほどの瑕疵にはなっていない。ちなみに野原一家を追いかける謎の少佐というのが
「地獄の黙示録」
のキルゴア中佐そのまんまで、ヒューイの中ではマグでコーヒーを飲んでいるし、サーフィンはするし、春日部防衛隊のマサオくんが決死の反撃をしたりすると水筒を引っ張り出してきて、「勇者には俺の水筒の水を飲む資格がある」と言ったりするし、最後はサーフボードを搭載したヒューイの編隊とともに去っていくし、その時にはヒューイのうちの一機がご丁寧に米海軍の河川哨戒艇を吊り下げている。このあたりの大胆なパロディぶりにこちらがキルゴア中佐ファンとして激しく反応した結果、好感度がむやみと高くなっているという話もあるのだが、それはまあそれでいいじゃないか、と思うのである。
ちなみに昨年(2002年)出版された「クレヨンしんちゃん映画大全」の中の「スタッフインタビュー」の最終ページに劇場版第11作「嵐を呼ぶローマ帝国の興亡 サイゴン陥落」予告編のコンテというのが掲載されていて、雰囲気からすると「嵐を呼ぶジャングル」の続編のような感じがするのだけど、たぶんこの企画がめぐりにめぐってこうなった、ということなのだろうか。イロコイの編隊、プラスチックボートといったキーワードがあって、製作意図は明白である。ぶりぶりざえもんのカーツ大佐(わたしはカタツムリが好きだ)、というのは見たかったかもしれないが、そうなるとしんちゃんがウィラード大尉ということか。悪夢のようだ。
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